麒麟川島「担々麺」の分析

今回は麒麟川島さんのすべらない話「担々麺」について、面白い部分の分析をしてみたいと思います。

【話の内容】
目黒に住んでたときの話なんですけど。お昼何の気なくテレビつけてたらラーメン特集みたいな。よくあるような。こんなおいしいラーメン。東京でこんなんありますよみたいなやってたんです。

その中で1個ぼろぼろのラーメン屋さん。ちょっとお世辞でもキレイと言えへんような。結構老舗のラーメン屋を紹介してたんです。ここの担々麺が最高においしいですみたいな。で最後ぱんって地図が出たんですけど。めっちゃ家の近所やったんですよ。でも住宅街やしそんなとこにラーメン屋あんねや。結構4年ぐらい住んでたんですけど。

そんなとこ通ったことないからほな今度行ってみようぐらいの。まあ何げない…。ちょっとそんな感じで見てたんですよ。ほんで10日ぐらいしてそういえばあのラーメン屋1回行ってみようと。仕事早く終わったときに。そのお店が夕方5時から開店するんでそこ行ってみようと思って4時50分ぐらいに着いたら並んでるんですよ。テレビの影響で。担々麺特集とかやってたから。

すごいな。10日たってもみんな並んでんねや。僕で9人目ぐらい。で横に…。一番最後方に50ぐらいのサラリーマンのおっちゃんが並んでて待ってたんですよ。サラリーマンのおっちゃんが「担々麺おいしい店ですかね?」とか言ってくれて。「僕もテレビで見ただけなんですけど」「楽しみですね」何げない会話して。

ほんで5時になったんですよ。5時になったら60ぐらいの大将が。

中華料理屋の大将がばんって出てきて。のれんをこう掛けるんですけど。「ああ」みたいな感じで入ってったんです。

あんまり愛想よろしくない。まあ別にうまかったらいいんやけど。


「ああ」みたいな感じで。
「これ入れってことなんですかね?」みたいな感じで10人ががっと入ってったんです。中華料理屋。まあまあ結構ぼろぼろなんですけど。カウンターしかないという。カウンターでちょうど10人入れる。ちっちゃいんですけど結構中華のメニューがびっしりはってるような。換気扇もちょっと油…。ちょっとまあ汚いけどうまそうやなみたいな。

ほんで何食おうかな。でも担々麺食いに来たし担々麺頼もうかなと思ったらその60の大将が
「あんたらどうせ担々麺だろ?なあ?」「テレビで見たんだろ?」「担々麺だよな?」みたいな態度なんですよ。

ちょっと「うん?」となるじゃないですか。何か天狗なってるんか?まあでも担々麺食いに来たしなと思ってたら、一人ずつに「担々麺だろ?なっ?」「担々麺だろ?」。言われた方も「はい」「はい」僕の番になって違うこと言いたいですけどやっぱホンマに担々麺食べたかったんで「はい。担々麺でお願いします」って。

ほんで僕の横の50のサラリーマンの人に「担々麺だろ?」っつったらこの人が
「ホイコーロー」って言ったんです。

仕掛けたんですよ。「担々麺おいしそうですね」って言ってたのに。

こいついきよったと。レジスタンスですよ。反逆。
いきよった。この人カッコエエ。流されへんかったな。

ほんで「ホイコーロー」って言うの「ああ」みたいな感じで。ほいで10分ぐらい待ってたら、担々麺ちゃっちゃいい作業で。おじさん一人で作ってくれるんです。で一人ずつに担々麺を渡していく。「はい。はい」みたいなこんな感じで渡していく。ほんで僕の前にも来て。うまそうやな。スープ飲んで。まあ残念ながらめちゃくちゃうまかったです。うまいしここまでの態度ちゃらにできるぐらいうまいなと思ってて。

そっから5分後にホイコーロー定食がそのおじさんの前に来たんです。ホイコーローとご飯と中華スープ。これが来たんです。あれめっちゃうまそうやな。次来たらこれ食べようかなと思ってて。そのサラリーマンのおっちゃんがホイコーロー食べようとしたら大将が

「おいおいおいおい。待て待て待て」「食べ方あるんだよ。うちのホイコーロー」「食うなお前。これ見てみろ」何かホイコーローのとこに「食べ方あり」って赤字で書いてあるんですよ。「おいおいおい。うちの食べ方で食べてくれよ」また食べようとしたら「おいおい。待て待て待て」「食べ方あるんだようちの」「うちの食べ方でやってくれよ」みたいな。「お前うちの食べ方知ってるのか?」っつったら

「知ってる」

絶対嘘なんですよ。震えながらの「知ってる」
でいこうとしたら「おいおいおい」みたいな。

こっちも全員担々麺止まったままなんですよ。

60と50がホンマにケンカしてるから。ヤバいヤバいってなって。
「おいおいおいおい。食うな食うな食うな」みたいな。

これ後で分かったんですけど。ご飯と一緒に食べろっていうことらしいんです。ホイコーロー相当辛く味付けしてるんで、ご飯ごとホイコーローいってくれ。そういう味付けにしてるんでその食べ方でいってくれっていうんですけども。それをまったく知らんと意地だけでいこうとするから
「おいおい。待て待て待て」
「待て。まだ食うな。ホイコーローうち食べ方あんだよ」って

ずっとやって。みんな食べられず待ってて。ほいでまたいこうとするから大将が
「おい。うちのホイコーローの食べ方知ってんだったら言ってみろ!」って言われて。そのサラリーマンのおっちゃんが

「残さず食べること」って言ったんです。

間違ってない。

60の大将が「そうだよ」

それがきっかけかどうか…。1年後すぐつぶれてたんで。

①導入
今回の話は、「テレビで紹介された中華料理屋の横柄な大将に、サラリーマンがスカッとする一言を言った」という内容。このオチをおもしろくするためのフリとして『横柄な大将の解像度をいかに上げるか』が重要。

導入では”TVで紹介された担々麺を出す中華料理屋がすぐ近くだから行ってみた”という内容を短く話している。

・お昼何の気なくテレビつけてたらラーメン特集みたいな。
こんな単純そうな一文だが、もし自分が話していたら「えーっと、何年前の冬くらいにお昼に暇だったからテレビつけてて、適当に見てたらラーメン特集してて・・・」のように余計な単語をボンボンつけてしまう。川島さんは逆算して必要な情報だけを並べてしゃべっている。のに、川島さんが家のリビングでリラックスしながらテレビを見ている様子が脳内に浮かぶのがすごい。お昼、も具体的な日にちとかはどうでもいいから昼という情報だけあればいい、というのが、無駄がなくてわかりやすい。自分が話すときは、「何の気なく」もいらないかもしれない。

・その中で1個ぼろぼろのラーメン屋さん〜
このブロックの重要性を最初聞いたときは気づかなかった。本編とはあまり関係ないおまけの情報かな、と思っていた。しかし、「家の近くにあったけど気づかなかったくらいの店がテレビで特集されたら並ぶくらい有名になってた」が大将の有頂天具合から転落することのフリになっている。さらに、並んでいる中のサラリーマンとの関係値を話した方が、話としての解像度が深まる。赤の他人が「回鍋肉」を頼んであたふたしている姿よりも、ちょっと話して担々麺を楽しみにしていた仲間があたふたしているのとでは川島さんの感情が変わってくるからだ。そのためにも、並ぶくらい有名になってたことを話すのは有効であったと考える。

②本編
・50代のサラリーマンのおっちゃんが〜
キーマンは必ず紹介しておかないと、聞いてる方がわからなくなる。何気ない会話したくらいライトな関係、でもほんわかした空気があったことを話しておくと、その後川島さんがサラリーマンのおっちゃんに急激に注目するおもしろさとか、ほんわかした部分からのギャップがおもしろくなる。

・あんまり愛想がよろしくない
自分の感想を間をあけて言っている。よろしくない、という言葉選びに川島さんの品性を感じる。

・なに頼もうかなとおもてたら〜
担々麺を楽しみにしてきたからやっぱり担々麺だよな、とワクワクしていたところに、大将の横柄さが出てくる。自分も違うこと言いたかったけど〜の部分は、愛想ない態度とられてイラッとはしたけど担々麺を前に何も言えなかった、という川島さんの人間らしさと葛藤がみえてすごく可愛らしく聞こえる。

・ほんで僕の横の50の〜
前にサラリーマンの説明はしていたから、初出で話されるよりも聞いている方が準備ができている状態で話のピークを聞ける。前提条件は整えておいた方が、オチに集中しやすい。担々麺だろ?が3回くらい続いてる(フリ)から「ホイコーロー」で興味ひかれる。回鍋肉って仕掛けたんです、と続けると長いしキレもないしせっかく面白い二つが一緒になってしまって流れてしまうので短く切っている。仕掛けたんです、が際立ちテンポがいい。担々麺おいしそうですねって言ってたのに、があるからこそサラリーマンがはっきりと反抗の意志になったことがわかりやすい。さらに、レジスタンスという言葉で反抗している姿を一言で表しているのが面白い。会場が反抗したサラリーマンをおもしろいと思っている状況で、さらに面白さを増加させるワードセンスを足すと締まりがいいし笑いになる。

・まあ残念ながらめちゃくちゃうまかったです
不味かったら大将に強気でいけるけどちゃんと美味しいもの出されちゃった苦しさが滲み出てる感想。

・「おいおいおいおい。待て待て待て」〜
サラリーマンの「知ってる」のフリになってる。ここを2〜3回繰り返すことでサラリーマンが回鍋肉の食べ方知らなくて戸惑ってる様子がわかる。

・「お前うちの食べ方知ってんのか?」「知ってる」
この2人のテンションを演じ分けるキレがおもしろい。知ってるわけないのに意地で知ってるというサラリーマンが滑稽。その後の、嘘なんですよが余計に笑いを増強させる。絶対に嘘、ということを川島さんが確定させることで、ここが笑いどころなんだ!とわかるから笑える。

・「おい。うちのホイコーローの食べ方知ってんだったら言ってみろ!」〜「残さず食べること」
普通なら推奨する食べ方を言う(フリ)のに、食べ物全般のルールを言う(オチ)のが面白い。この一文だけでもフリオチあっておもろい。フリの部分の解像度が高まっているからこそ、オチの爆発力があって面白い。
間違ってないと聞いている人の気持ちを代弁するのも効果的。「そうだよ」と言葉に詰まる大将が想像できて、もはやかわいそうに思えてしまう。

【まとめ】
話のオチは何かを決めて、フリでどのくらい解像度を上げられるかとギャップを持たせるかが鍵だと感じた。事実ベースではあるが、川島さんの生の感想をその時のトーンで話すことでリアリティーが増すし、他の人の描写も無駄にならない程度に入れると面白さが増す。川島さんのトークは周りの情景まではっきり見えてくるので、こちらが頭を使う必要がなく話に集中できるのがいい。


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ガッチ

ガッチです!美容皮膚科医と芸人やってます!
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